用法・用量

通常、成人にはテルミサルタンとして40mgを1日1回経口投与する。ただし、1日20mgから投与を開始し漸次増量する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日最大投与量は80mgまでとする。

薬物動態

1. 血中濃度
(1) 単回及び反復投与
本態性高血圧症患者にテルミサルタン20mg、40mg、80mgを食後に単回経口投与(20mg群:31例(男性22、女性9)、40mg群:29例(男性22、女性7)、80mg群:30例(男性18、女性12))したときの血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。3)
[3)は日本人におけるカプセル剤のデータ]
投与量:20mg(n=31)
Cmax(ng/mL):33.84±17.37
tmax(h):6.9±6.2
AUC(0-24h)(ng・h/mL):424.65±232.25
t1/2(h):24.0±11.0
投与量:40mg(n=29)
Cmax(ng/mL):78.52±32.72
tmax(h):4.6±1.7
AUC(0-24h)(ng・h/mL):807.41±334.76
t1/2(h):20.3±12.1
投与量:80mg(n=30)
Cmax(ng/mL):365.81±253.08
tmax(h):3.6±1.2
AUC(0-24h)(ng・h/mL):2304.54±1522.85
t1/2(h):20.9±10.6
(平均値±S.D.)
本態性高血圧症患者にテルミサルタン40mg、80mgを1日1回14日間食後に反復経口投与(40mg群:10例(男性6、女性4)、80mg群:10例(男性7、女性3))したとき、定常状態である14日目における血漿中未変化体濃度は、投与後2〜4時間で最大値を示し、以後徐々に低下した。また、AUC(0-24h)の比から算出した蓄積率は、40mg及び80mg投与でそれぞれ1.91±0.53及び1.61±0.62(平均値±S.D.)であった。4)
[4)は日本人におけるカプセル剤のデータ]
投与量:40mg(n=10)
投与日:1日目
Cmax(ng/mL):85.78±45.25
tmax(h):4.0±1.6
AUC(0-24h)(ng・h/mL):1030.16±598.93
投与量:40mg(n=10)
投与日:14日目
Cmax(ng/mL):166.51±88.49
tmax(h):3.4±1.0
AUC(0-24h)(ng・h/mL):1930.61±1155.91
投与量:80mg(n=10)
投与日:1日目
Cmax(ng/mL):259.50±137.14
tmax(h):2.9±1.2
AUC(0-24h)(ng・h/mL):2288.28±956.39
投与量:80mg(n=10)
投与日:14日目
Cmax(ng/mL):436.62±219.36
tmax(h):2.3±0.9
AUC(0-24h)(ng・h/mL):3203.57±1710.92
(平均値±S.D.)
*錠剤とカプセル剤の生物学的同等性は、テルミサルタン20mgを含有する各製剤を用いて、健康成人男子を対象にした生物学的同等性試験により確認されている。5)また、含量の異なる錠剤間の生物学的同等性は、20mg錠と40mg錠は溶出試験により、40mg錠と80mg錠は健康成人男子を対象にした生物学的同等性試験により、確認されている。6,7)
[5,7)は日本人におけるデータ]


・臨床用量でも非線形性を示す
「40mg以上の投与量で用量比以上の曝露の上昇がみられ、Cmaxでその傾向は顕著であることが確認されている。その機序として、小腸壁での抱合能の飽和及び肝臓への分布の飽和の関与が考えられる。」

非線形性を示すことから1日40mgを超えて投与する場合は朝・夕に分けて服用させる場合も(特に肝機能低下時)。クリアランス低下による副作用の発現を抑える目的で。

Cmax及びAUCに個体差が認められ、80mg 以上の投与量においてその傾向が顕著⇒ミカルディスの1日投与量は80mgまで



(おまけ)
ミカルディス(テルミサルタン)の特徴

・半減期が長い:20〜24時間
・受容体阻害作用が強いうえに持続的
・脂溶性が高く組織移行性に優れる
・プロドラッグではなく活性体
・T/P(トラフ/ピーク)比:90%と高い
AT1受容体への親和性が高く、受容体から解離しにくい
・CYPによる代謝は受けない
・グルクロン酸抱合を受け、胆汁を介してほぼ100%が糞中に排泄される
(24時間未変化体排泄率は0.02%以下)
⇒CKD患者に適している


ミカルディスPPARγ活性化作用が他のARBと比較して強い⇒METs(メタボリックシンドローム)合併高血圧に対して期待できる。
PPARγ活性化作用:インスリン抵抗性を改善し、糖・脂質代謝を改善する作用。アクトス(ピオグリタゾン塩酸塩)がこの作用をもつ代表的な薬剤
・基本的にはミカルディスは食後に服用する。ミカルディスの薬物動態は食事の影響を受け、空腹時投与の方が食後投与よりも血中濃度が高くなることが報告されている。