糖尿病の病態(病期)はインスリン分泌能とインスリン抵抗性とによって決定され、治療法決定のために極めて重要である。
(1) インスリン分泌能評価
a. | C-ペプチド (CPR) |
CPRは膵β細胞からインスリンと等モル分泌される物質で、肝臓などで分解されないのでインスリン分泌能のマーカーになる。空腹時血中濃度は1〜3ng/mlである。1日尿中排泄量が判定によく用いられ、正常値は40〜100μg/日である。蓄尿には防腐剤の添加や冷所保存などが必要である。腎機能障害・尿路感染症合併時には偽低値を示すことがある。 | |
b. | グルカゴン負荷試験 |
早朝空腹時前採血の後、ウシグルカゴン1mgを1分かけて静脈内に投与し、6分後・10分後に採血をおこなう。6分後あるいは10分後のC-ペプチドのうち、より高値のものと前値との差をΔ(デルタ)値とする。Δ値が1ng/ml未満の場合は治療にインスリンが必要なことが多く、0.5ng/ml未満の場合はインスリン依存状態の可能性が高い。 | |
c. | 糖負荷試験 |
Insulinogenic
Index がよく用いられ、0.4未満の場合はインスリン分泌障害が疑われる。 |
(2) インスリン抵抗性評価
a. | グルコースクランプ法(人工膵臓) |
インスリンを一定速度で持続静注したときに血糖を一定に保つために必要なグルコース注入速度を測定する。インスリン抵抗性の指標としてはもっとも優れたものである。しかし特殊な検査器械がを用い、1回の検査に2〜3時間必要である。 | |
b. | Turnerのホメオスタシスモデル(HOMA-IR) |
HOMA-IR(homeostasis of minimal assessment of insulin
resistance) =空腹時血中インスリン値(μU/ml)×空腹時血糖(mg/dl)/405 |
http://www.med.kyushu-u.ac.jp/intmed3/4dm/dms9.htmlより引用
臨床検査値の解釈 その6