適応外使用                     最終更新日2012年5月23日

医薬品は、添付文章に書かれている【効能・効果】【用法・用量】に沿って使用することが基本です。
ただ、ある程度は適応外使用について知っておかないと、まったく的外れな服薬指導になったり、知らないと想像が膨らんでしまい処方を読み取るときの障害になります。
そこで、記憶しておくべき適応外使用について、まとまった資料がないか探してみましたが、いい資料がありません。いろいろ考えた結果、以下@〜Cの方法で、適応外使用される薬剤を抜粋してみました。抜粋・補足は個人的な見解に基づいて行っていますが、処方監査・服薬指導に必要なポイントは外していないつもりです。

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@「今日の治療薬2009」から抜粋
参考)保医発0915第1号
平成21年9月15日「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/hokkaido/info/tsuchi/02_santei/documents/090915.pdf

A厚生労働省「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト」(更新日:平成22年12月13日) から抜粋
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0521-5.html

Bポケット医薬品集2009年版 白文舎 から抜粋

C上記のいずれにも書かれていないが、今までの病院薬剤師業務の経験から重要と考えられる薬剤を個人的見解に基づき補足


(その他の参考資料)
ちょっと古いですが日本臨床薬理学会「適応外使用及び医師からの適応拡大の要望のある医薬品一覧」もあります。
http://www.apha.jp/top/shiryou/hyousi.tekiougai.html

@「今日の治療薬2009」 南江堂 より抜粋
<< >>について
・社会保険診療報酬支払基金のホームページ「審査情報提供事例」に基づく。
・本提供事例に示された適否がすべての個別診療内容に係る審査において画一的、一律的に適用されるものではない。
イスコチン 
p99
ステロイド・免疫抑制薬(生物学的製剤含む)投与時の感染予防
フラジール内服錠 
p144
本来の適応症
1. トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)
2. 下記におけるヘリコバクター・ピロリ感染症
胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃MALTリンパ腫,特発性血小板減少性紫斑
病,早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
適応外:アメーバ性大腸炎、アメーバ赤痢、肝膿瘍、ランブル鞭毛虫症、クローン病、偽膜性腸炎
マブリン
p187
<<造血幹細胞移植前処置>>
ロイケリン
p197
本来の適応症:急性白血病、慢性骨髄性白血病
適応外
:潰瘍性大腸炎
ハイドレア
p201
本来の適応症:慢性骨髄性白血病
適応外:<<真性赤血球増多症、本態性血小板症(血小板が増えて血栓ができやすい疾患のため、バイアスピリンと併用されることが多い)、慢性骨髄単球性白血病>>
リンデロン
p257
未熟児出産時の肺成熟
コルヒチン
p388
本来の適応症:痛風発作の緩解及び予防
適応外:ベーチェット病、ベーチェット病のブドウ膜炎、掌蹠膿疱症、原発性胆汁性肝硬変、壊死性血管炎等皮膚疾患
ヨウ化カリウム
p439
結節性紅斑
⇒50mg/錠。適応症に対する用量は、通常4錠/日までだが、結節性紅斑に対しては16錠(900mg)で使用することが多い。
ピドキサール
p462
ウエスト症候群
メチコバール
p463
特発性精子形成不全症、嗅覚性障害、睡眠相後退症候群、<<ベル麻痺、特発性難聴、反回神経麻痺>>
フルイトラン
p571
腎性尿崩症
インデラル
p579
振戦(甲状腺機能亢進症、本態性)、食道静脈瘤の再出血予防、片頭痛
レニベースほか(ACE-I 糖尿病性腎症、<<小児の高血圧・心不全>>
プリンペラン
p735
しゃっくり、めまい
ガスモチン
p736
逆流性食道炎、過敏性腸症候群
ケルナック
p759
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病)
プロマック
p760
亜鉛欠乏・亜鉛補給効果・味覚障害・貧血症等に対する亜鉛補給
リボトリール
p889
本来の適応症:小型(運動)発作[ミオクロニー発作、失立(無動)発作、適応外:点頭てんかん(幼児けい縮発作、BNSけいれん等)]、精神運動発作、自律神経発作
適応外使用:気分安定薬(躁うつ病)、ミオクローヌス症状、パーキンソン病のREM睡眠関連行動障害、しびれ、むずむず脚症候群、本態性振戦
ガバペン
p892
繊維筋痛症
ミオナール
p946
緊張型頭痛、筋弛緩性頭痛
テルネリンp946 緊張型頭痛、筋弛緩性頭痛
オクソラレン
p1022
乾癬(PUVA療法)
ハルナール
p1046
神経因性膀胱、尿管結石排出促進
ボンゾール
p1053
難治性の特発性血小板減少性紫斑病、難治性の再生不良性貧血、骨髄異形性症候群

A「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて
開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト」(更新日:平成22年12月13日) より抜粋

デパケン 片頭痛における頭痛発作の予防
バクタ ニューモシスティス肺炎、免疫抑制薬使用下の肺炎の予防
★ワンポイント32参照
Bポケット医薬品集2009年版 白文舎 より抜粋
ワソラン 房室頻拍
コンスタン パニック・ディスオーダー
エリスロシン びまん性汎細気管支炎、消化管運動亢進
カナマイシン 腸内殺菌(手術の前処置、肝性昏睡時のNH3生成抑制)
Cその他 【個人的見解に基づき補足】
シプロキサン クローン病、潰瘍性大腸炎    結核?
パラミジン ワーファリンの作用増強
バリキサ サイトメガロウイルス感染“予防”
クラリス ・テオフィリンとマクロライドが併用される処方の代表的疾患に「びまん性汎細気管支炎」が挙げられます。80%以上の患者さんで慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の合併がみられます。特に痰の量が多いのが特徴です。
・マクロライドの投与量は半分程度です。びまん性汎細気管支炎(DPB)のほか、慢性気管支炎、感染型の喘息、さらに耳鼻科領域においては慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎の治療にもしばしば応用されます。効果発現まで通常1〜3ヶ月かかるといわれており、呼吸器系では通常の半量程度を6ヶ月から数年に渡り継続し、耳鼻科領域においては更に少量を数ヶ月間服用するのが一般的と言われています。
・この場合、マクロライドの処方目的は直接の抗菌作用ではなく、他の薬剤ではなかなか抑えることの難しいDPB炎症を抑えることと言われています。その作用機序はよく分かっていません。
マクロライド長期少量投与療法中に気道感染を起こした場合、マクロライドの投与を継続したままで新たな抗生物質が併用されることがあります。抗生物質の種類としては市中肺炎に広く使われているセフェムが使用されることもありますが、持続感染した緑膿菌の増殖が急性憎悪の原因となっていることも多いため、緑膿菌にも抗菌活性のあるニューキノロンが選択されることが多い。
抗生剤の併用するパターンは少ないため、経験の浅い薬剤師にとって理解しにくい部分の一つと思いますので、喘息の話とは少しズレますがこの機会に紹介しておきます。
フェノバール 胆道閉塞症
ラミクタール 神経障害性疼痛
トピナ 双極性障害、神経障害性疼痛
セロクエル うつ、吐き気
コントミン しゃっくり
ネオフィリン 未熟児無呼吸発作
プロサイリン プロサイリンは腎血流量を維持し、腎不全の進行度を軽減する。
□プロサイリンは眼科領域では網膜静脈閉塞症に投与される。
トリプタノール 夜尿症(適応内)、鎮痛薬/片頭痛(適応外)
ユベラ 遅発性ジスキネジア〔適応外〕、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)(適応内?)
ノルバデックス 悪性黒色腫

処方例)DAC-Tam 療法
ダカルバジンR注220mg/m2 点滴静注第1-5日用量適応外
ニドランR注60mg/m2 点滴静注第1日適応症外
ランダR注25mg/m2 点滴静注第1-3日適応症外
ノルバディックス錠R(10mg)2錠分2内服連日第1- 28 日適応症外
以上を1クールとして,4-5クール繰り返す.

皮膚科から処方される