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実況中継

実例処方1の解説

実例処方

□房水の役割とその流れについて
房水は、角膜・水晶体・硝子体など血管のない組織に栄養を与える役割をもっており、目の中の毛様体というところで作られる。ここから瞳孔および隅角にあるフィルター(線維柱帯)を通って、シュレム管に集まり、静脈へと流れ込む。

□眼圧を保つためには,主として房水のつくられる量と排出される量が一定に保たれていなければならず,この経路に正常に保たれて一定の張りが眼球に与えられる。

□緑内障とは、眼圧が高くなって眼球の後ろにある神経が障害を受け、視野や視力に異常をきたす病気である

□眼圧は常に一定ではなく,正常な眼圧は一日5mmHg以内の変動がある。日本人の正常眼圧は10〜20mmHgで,25mmHg以上では病的と考えられる。

□緑内障の薬は、房水産生を抑制する薬と房水流出を促進させる薬に分けられる。

 房水流出を促進させる薬  PG製剤、サンピロ
 房水産生を抑制する薬  β遮断薬、CA阻害薬、ピバレフリン

ポイント1 
疾病の進行度に応じた薬剤の選択順序を理解しておく。


□まずはPG製剤 OR βブロッカーを使用し、眼圧がコントロールできないときは使っていない方を追加する。それでもコントロールできない場合はCA阻害薬、ダイアモックス+アスパラKという順序で薬剤を追加していくことが基本となる。

ポイント2
点眼薬の使用方法及び使用順序を説明できる。

□全身性の副作用を予防する患者への点眼方法の説明
『点眼後15分、眼を閉じ目頭の下の方を軽くおさえます。すると目薬が口の方へ流れていくのを防ぎ、全身性の副作用を抑えることができます。』
□複数の点眼薬が処方されているときに使用間隔について患者から確認を求められることが多い。一般的には、2,3分〜5分と指導していることが多いようである。
□ついでに、吸入薬の吸入順所についても考えておくと良い。
□一番効果を期待したい点眼薬を最後に使うという考えもある。
□リズモンTGは点眼した後ゲル化し、作用が持続する。そのため、リズモンは最後に点眼する。

ポイント3
疾患を予測できる薬剤が処方されたら,疾患に対する禁忌薬が処方されていないかをチェックする。

□禁忌には,薬剤どうしの併用禁忌と,疾患に対する禁忌がある。後者に対するチェックも大切である。
□緑内障の患者に、抗コリン薬を使用することは禁忌とされている。一口に緑内障といっても、そのタイプや治療状況により 禁忌薬の対処が違ってくる。
□代表的なのは「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」で、前者は、房水の出口が閉じ、房水の流出が滞ることで眼圧が上昇する。そのため、同様の作用を持つ抗コリン薬の影響を強く受けやすいと考えられる。
□ピバレフリンという点眼薬は、開放隅角緑内障に適応する一方で、閉塞隅角緑内障には禁忌(副作用が多く、処方頻度は少ない)
□緑内障のうち開放隅角緑内障は散瞳による影響は少なく,抗コリン薬の絶対禁忌は無治療の閉塞隅角緑内障です。
□患者が自分の緑内障のタイプを正確に認識しているとは限らない。閉塞−の有病率は40歳以上の日本人の約0.3%で,緑内障全体の10%程度といわれている。また,診断のついている閉塞−の患者は,その多くがレーザー虹彩切除など予防措置がとられている。
□したがって,緑内障の患者さん全員に対し,抗コリン薬を一律に禁忌薬とすることはなく,また,狭隅角や浅前房などの素因を持つ人は抗コリン薬により急性発作を起こす可能性があり,問診での判断には限界がある。
□抗コリン薬を使用する場合は,視力障害や眼痛,頭痛が出現したら医師に申し出るようにあらかじめ患者に説明しておくことも重要と思われる。


1)開放隅角緑内障 2)閉塞隅角緑内障

ポイント4
抗コリン作用を有する薬剤を覚えておく。


□「ポケット医薬品集」(白文舎)に整理されているので参照。
□これも抗コリン薬なの?という薬剤がコランチルである。このことを知らずに代替薬が多数あるにも関わらず安易に使用し続けるケースがある。
□(参考)
名前からは含まれているものが想像しにくいものとしてアルサルミンがる。成分であるスクラルファートには、なんとAlが含有されている。血液透析中の患者に,アルサルミンの長期投与は禁忌であるから、代替薬を検討すべきである。イサロン、バファリン81にも少量のAlが含有されているが,透析患者への影響は不明である。



作成日 2008年9月28日