タキソールとタキソテールの比較

商品名が類似しているため誤投薬の報告が後を絶たない。そのため、当院では成分名で取り扱いをしています。
両剤の比較を、添付文書中心にまとめてみました。
他の抗がん剤と併用するときや、放射線療法と組み合わせるときは、用法用量は変わってくることに注意してください。

 成分名 パクリタキセル ドセタキセル
 商品名 タキソール  タキソテール
 適応症  乳癌,非小細胞肺癌,胃癌,卵巣癌,子宮体癌



・子宮体癌での本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立されていない。
1.乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌
2.卵巣癌、
食道癌、子宮体癌
3.
前立腺癌

・子宮体癌での本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立されていない。
・前立腺癌では本剤は外科的又は内科的去勢術を行い、進行又は再発が確認された患者を対象とすること。
 用法用量  卵巣癌,非小細胞肺癌,胃癌及び子宮体癌にはA法を使用し,乳癌にはA法又はB法を使用する。

A法
通常,成人にはパクリタキセルとして,1日
1回210mg/m2を3時間かけて点滴静注し,少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして,投与を繰り返す。

B法
通常,成人にはパクリタキセルとして,1日1回
100mg/m2を1時間かけて点滴静注し,週1回投与を6週連続し,少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして,投与を繰り返す。
1.乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして
60mg/m2を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する。ただし、1回最高用量は70mg/m2とする。

2.卵巣癌、食道癌、子宮体癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして
70mg/m2を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。

3.前立腺癌
通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして
75mg/m2を1時間以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。  
 臨床検査  本剤の投与にあたっては,投与法毎に下記に留意し,必要に応じ休薬,減量を実施すること。

(1) A法
白血球及び好中球の変動に十分留意し,
投与前の臨床検査で白血球数が4,000/mm3未満又は好中球数が2,000/mm3未満であれば,骨髄機能が回復するまでは投与を延期すること。投与後,白血球数が1,000/mm3未満となった場合には次回の投与量を減量すること。

(2) B法
各クールを開始する際(初回クールを含む),
投与前の臨床検査で白血球数が3,000/mm3未満又は好中球数が1,500/mm3未満であれば,骨髄機能が回復するまでは投与を延期すること。同一クール内での本剤の投与にあたっては,投与前の臨床検査で白血球数が2,000/mm3未満又は好中球数が1,000/mm3未満であれば,骨髄機能が回復するまでは投与を延期すること。投与後,白血球数が1,000/mm3未満となった場合には次回の投与量を減量すること。

重篤な末梢神経障害が発現した場合には,減量して投与することを考慮する。
 特に本剤の用量規制因子である好中球数の変動に十分留意し、投与当日の好中球数が2,000/mm3未満であれば、投与を延期すること。
 前投薬
(プレメディケーション)
 重篤な過敏症状の発現を防止するため,必ず前投薬を行うこと。

(1) A法
@本剤投与約12〜14時間前及び約6〜7時間前の2回,もしくは本剤投与約30分前までに投与を終了するように,1回リン酸デキサメタゾンナトリウム注射液(デキサメタゾンとして20mg)を静脈内投与,
A本剤投与約30分前までに投与を終了するように,塩酸ジフェンヒドラミン錠(塩酸ジフェンヒドラミンとして50mg)を経口投与,
B本剤投与約30分前までに投与を終了するように,塩酸ラニチジン注射液(ラニチジンとして50mg)又は注射用ファモチジン(ファモチジンとして20mg)を静脈内投与

(2) B法
1) 本剤投与約30分前までに投与を終了するように,リン酸デキサメタゾンナトリウム注射液(デキサメタゾンとして8mg)及び塩酸ラニチジン注射液(ラニチジンとして50mg)又は注射用ファモチジン(ファモチジンとして20mg)を静脈内投与,塩酸ジフェンヒドラミン錠(塩酸ジフェンヒドラミンとして50mg)を経口投与すること。
2) デキサメタゾンは初回投与時8mgとし,次回投与時までに過敏症状の発現がみられなかった場合又は臨床上特に問題のない過敏症状の場合は,2週目の投与より半量(4mg)に減量し投与してもよい。以降の投与週においても同様の場合,半量ずつ最低1mgまで減量し投与してもよい。
前投薬は必須ではない


1. 外国における前投与
本剤の1回最大投与量を100mg/m2としている欧米においては、浮腫の発現率及び重篤度が高く、
浮腫並びに過敏症状の軽減を目的として、副腎皮質ホルモン剤による前投与が行われている。前投与としては、デキサメタゾン(16mg/日、8mg1日2回)等を、本剤の投与前日から3日間、単独経口投与することが望ましいとされている。なお、前投与を実施した症例においても、重篤な過敏症(アナフィラキシーショック)による死亡例が報告されている。 
 DLT

副作用
 DLT:白血球減少、末梢神経障害  DLT:好中球減少症

ドセタキセルの副作用である末梢性浮腫,体腔液貯留は,
総投与量300-400mg/m2を超えると,頻度および程度共に増加する。
 薬物動態 非線形性
AUCおよびCmaxは、投与量公比以上の増加傾向を示す
 線形性
 代謝酵素  CYP2C8、CYP3A4  CYP3A4
 添加物 ポリオキシエチレンヒマシ油(商品名:クレモホールEL) 
無水エタノール
ポリソルベート80 
(添付溶解液)エタノール 
 その他  【専用の点滴ラインを使用する】
本剤の希釈液は,過飽和状態にあるためパクリタキセルが結晶として析出する可能性があるので,本剤投与時には,0.22ミクロン以下のメンブランフィルターを用いた
インラインフィルターを通して投与すること。

点滴用セット等で本剤の溶解液が接触する部分に,可塑剤として
DEHPを含有しているものの使用を避けること。


作成日 2009.4.13

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