同種同効薬>β遮断薬の比較
β遮断薬は,(1)β1選択性の有無,(2)ISAの有無,(3)親油性/親水性の3つを軸に分類します。臨床的にどのような違いが生じるのかまで,しっかり押さえながら勉強しましょう。
注)MSA(撒安定化作用)の有無で分類している本もあるが,臨床的な使い分けの基準がはっきりしないことから,省略します。
(1)β1選択性の有無
β1受容体は,主に心臓に分布しています。β1選択性のことを心臓選択性ということもあります。
β1遮断作用 |
心収縮力低下 |
β2遮断作用 |
気管支収縮 |
ISAあり |
睡眠・安静時は弱いβ刺激作用を有し,過度の徐脈・伝導障害・収縮抑制がなく,心機能の低下した患者や,末梢循環障害,中等度の腎障害をもつ患者に用いる。中断症候群も少なく,脂質への影響も少ない。 |
ISAなし |
レニン分泌抑制作用が強い |
親油性が高い |
・中枢性の副作用が現れやすい |
親水性が高い |
・肝臓における初回通過効果がないので降圧効果の個人差が少ない |
薬剤 | β1選択性 | ISAの有無 | 親油性/親水性 (油水分配係数) |
備考 |
テノーミン (アテノロール) |
β1選択性あり | ISA(−) | 親水性 (0.015) |
- |
セロケン (メトプロロール) |
β1選択性あり | ISA(−) | 中間 (0.98) |
- |
メインテート (ビソプロロール) |
β1選択性あり | ISA(−) | 中間 (1.09) |
- |
ケルロング | β1選択性あり | ISA(−) | - | - |
セレクトール (セリプロロール) |
β1選択性あり | ISA(+) | - | β2受容体刺激による血管拡張作用を持つ |
ハイパジール | 非選択性 | - | - | NOドナーで血管拡張 |
インデラル、-LA (プロプラノロール) |
非選択性 | ISA(−) | 親油性 (20.2) |
【適応外使用】 振戦(本態性、甲状腺機能亢進症) 食道静脈瘤の出血予防 偏頭痛 |
ミケラン、-LA (カルテオロール) |
非選択性 | ISA(+) | 親水性 (0.35) |
心臓神経症に適応あり |
アーチスト (カルベジロール) |
αβ遮断薬 | - | 親油性 (226) |
血管拡張作用、抗酸化作用、糖脂質代謝を悪化させない |
アルマール (アロチノロール) |
αβ遮断薬 | - | 中間 (1.2) |
本態性振戦に適応あり |
カルバン | αβ遮断薬 | - | - | - |
同種同効薬14