H2ブロッカーの使い分け
当院で採用されているH2ブロッカーを、まとめてみました。
全部で6種類です。国内で承認されているH2ブロッカーも6種類です。
胃酸分泌抑制作用に強さにおいて大差はありません。保険診療上の日数制限から、
PPIが消化性潰瘍治療初期の第一選択であるのに対し、H2ブロッカーは消化性潰瘍の維持療法における第一選択薬です。
商品名 |
成分名 |
規格 |
備考 |
ガスターD |
ファモチジン |
D錠 20mg、 散 10%
注 20mg |
・剤形が豊富 |
ザンタック |
ラニチジン |
錠 150mg
注 100mg |
・吸湿性のため粉砕できない |
アルタット |
ロキサチジン |
カプセル 75mg
注 75mg |
− |
アシノン |
ニザチジン |
錠 150mg |
消化管運動促進作用をもつため、逆流性食道炎に対し有用である
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プロテカジン |
ラフチジン |
錠 10mg
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・ 他のH2RAはすべて腎代謝されるが、この薬剤だけ肝代謝>CYP3A4、CYP2D6
・ 酸分泌抑制作用のほかに、胃粘膜血流増加作用等の防御因子増強作用が認められている。 |
タガメット |
シメチジン |
錠 200mg |
− |
タガメットは相互作用が多く、他のH2ブロッカーを差し置いて積極的に使用する理由がありません。そのためか、今はほとんど処方されていません。プロテカジン(+タガメット)以外のH2ブロッカーの酸分泌抑制作用に大差はなく、アシノンの消化管運動促進作用もおまけみたいな感じがして、どれを使っても大差はないと言えるのかと考えます。
■腎機能低下で投与量の調整が必要
プロテカジン以外のH2ブロッカーは腎排泄型の薬剤であり、高齢者や腎機能障害患者では
投与量の減量または投与間隔の延長が必要です。添付文書にもCcrに応じた投与量が明記されていますし、一人で難なく勉強可能なのでこれ以上の説明は割愛します。
■相互作用
H2ブロッカーの相互作用を臨床薬理学的に考察するには、2つのアプローチがあります。一つは胃内pHの上昇によるバイオアベイラビリティーの変化、もう一つはCYP阻害作用による相互作用です。
プロテカジン以外のH2ブロッカーは腎排泄型の薬剤ですが、
タガメットとザンタックはCYP阻害作用があります。タガメットは特にCYP3A4、CYP2D6の阻害作用を有するためこれらの代謝酵素で代謝されるワーファリン、テオフィリン、フェイトインなどの多くの薬剤が、また、CYP3A4などの阻害作用を有するザンタックではワーファリンと併用注意となっています。
作成日 2011年4月16日