スタチン製剤の使い分け
脂質異常症の治療薬の中で90%以上を占めるスタチンですが、現在6種のスタチンが上市されています。当院ではこれら全てが採用されています。今まで同種同効薬の比較について説明することは学習の効率が悪くなる等の理由から極力控えてきましたが、相互作用の面からまとめたスタチン製剤の使い分けを紹介します。
CYPは「脂溶性の薬物を代謝する」と理解していると思いますが、ピタバスタチン(リバロ)はその概念を変えるような薬物です。つまり、DMリバロは脂溶性であるにもかかわらずCYPによる代謝をほとんど受けず、未変化体のまま胆汁中に排泄されます。CYPの代謝をほとんど受けないという点で、安全性が高いといわれる水溶性のプラバスタチン(メバロチン)によく似ていると思います。他の脂溶性のスタチンとは異なるという点で、薬物動態の面では全く新しいタイプのスタチンだと考えるのがよいと思います。
■クレストール
・アルミニウム、マグネシウムにより吸収を阻害される。
同時服用で50%吸収低下。
・スタチンにはその作用の強さによりスタンダードスタチンとストロングスタチンに分けられます。
スタンダードスタチン |
プラバスタチン(商品名 メバロチンなど) |
ストロングスタチン |
アトルバスタチン(商品名 リピトール) |
・親水性の唯一のストロングスタチンでも作用の強さは最強。なお、クレストールがでるまでの最強のスタチンは、リピトールとされていました。
・クレストールは親水性ですが、肝臓に取り込まれやすく、肝臓以外の組織では取り込まれにくい性質を持ちます。これは、肝臓にはクレストールを取り込むためのタンパク質(トランスポーター)があり、肝臓以外の組織の細胞にはないからです。
・CYPを介した相互作用がないこと、バイオアベイラビリティが29.0%であることから、他のスタチンと比べほかの薬剤との相互作用が少ないと考えられる。
・作用が強い分、副作用(腎障害、横紋筋融解症など)にも注意しなければなりません。
作成日 2008年11月30日
同種同効薬29