パーキンソン病治療薬の使い分け

2011年4月、約10年ぶりに「パーキンソン病治療ガイドライン」(日本神経学会)が改訂された。GLの変更内容を基軸にして、パーキンソン病治療薬の使い分けについて整理します。

薬効 薬剤名 特徴
L-ドーパ含有製剤 ネオドパストンL ドパミン前駆物質。PD治療薬の大本命。
MAO-B阻害薬 エフピー 脳内ドパミンの代謝を抑制。基本的にはL-ドパ製剤と併用で用い、その治療効果を延長。海外では単独投与も行われている。
COMT阻害薬 コムタン エフピーのような単独での抗PD作用は期待できない。
ドパミンアゴニスト カバサール
パーロデル
ペルマックス
麦角系ドパミンD2受容体刺激薬。
嘔気、食欲不振などの消化器系副作用が多い。
ビ・シフロール
レキップ
非麦角系ドパミンD2受容体刺激薬。
副作用としての消化器症状は少ないが、眠気が多い。
抗コリン薬 アーテン
アキネトン
若年軽症患者の治療導入薬。振戦、筋固縮などの初期症状に有効。
前立腺肥大、緑内障、重症筋無力症には禁忌。
痴呆症状をきたしやすく、高齢者では使用を控える。
ドパミン遊離促進薬 シンメトレル 若年軽症患者の治療導入薬およびL-ドーパ補助薬として用いる。副作用が少ない。ジスキネジーの抑制作用がある。
ノルエピネフリン前駆物質 ドプス すくみ足、無動、起立性低血圧に適応となる。
レボドパ賦活薬 トレリーフ 単独使用では効果がなく、L-ドパ製剤と併用で用い補助的治療薬としての位置付け。



■早期パーキンソン病治療・・・L-dopaかドパミンアゴニストか?
認知症を発症
している場合や70〜75歳以上の高齢者症状が重かったり転倒のリスクが高い場合などには、L-ドパで治療を開始し、それ以外では、ドパミンアゴニストで治療を開始すると変更された。


症状改善効果を比較するとドパミンアゴニストはL-ドパにやや劣るというランダム化比較試験結果がある。そのため、症状が重い、転倒のリスクが高いなど急速な症状改善が必要な場合はL-ドパから治療を開始することが推奨される。
また、ドパミンアゴニストで治療を始めると、L-ドパで治療を開始した場合よりも、3〜10年間は運動合併症を生じるリスクが低くなるというエビデンスがある。

麦角系ドパミンアゴニストはまれにではあるが心臓弁膜症といった重篤な副作用が知られている。そのため、初めてDA−agonistを使用する場合は非麦角系を第一選択とする
しかし、非麦角系は眠気の副作用が強く日中の活動性が低下する症例や、突発性傾眠をきたす症例の報告が麦角系より多いという報告もある。また賭博や病的買い物などの衝動的異常行動を起こしやすいともいわれている。


■進行期治療・・・wearing off対策


2011年版では、薬効時間が短縮し、薬物濃度の変化とともに症状が変動するwearing off現象への対策が見直された。wearing off現象が見られた場合、まずはL-ドパを1日3〜4回、もしくはドパミンアゴニストの投与を開始、増量、変更するなどの処置を行う。

その後、不随意運動のジスキネジアがあった場合はL-ドパの1回量を減らし、エンタカポンまたはゾニサミドを併用する。ジスキネジアが見られない場合には、エンタカポン、セレギリンまたはゾニサミドを併用する。

その後、L-ドパの頻回投与およびドパミンアゴニストの増量や変更を行い、これらの薬物コントロールでも成果が出なければ手術療法を実施するとした。

GLがインターネットにアップされたときに追記改訂し、ジスキネジア対策についてまとめなおしたいと思います。


■幻覚・妄想への対応

中枢神経系の変性や脱落、薬物などにより現れる幻覚・妄想の治療については、直近に加えて幻覚・妄想の誘因となった薬物があればそれを中止し、効果が得られなければ抗コリン薬、アマンタジン、セレギリンを中止する。

 それでも変化がなければドパミンアゴニストを減量・中止、ゾニサミド、エンタカポンを中止し、さらに症状が治まらない場合はL-ドパを減量する。効果がなければ非定型抗精神病薬を投与し、それでも悪化した場合には定型抗精神病薬を投与する。

 なお、上記の薬物の減量・中止に併せてコリンエステラーゼ阻害薬の追加を考慮することも記載された

作成日 2011年10月12日

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