睡眠薬の使い分け
4つの睡眠薬「イソミタール」「レンドルミン」「マイスリー」「ロゼレム」を例にして、睡眠薬を分類してみましょう。
薬剤名 (成分) |
イソミタール |
レンドルミン |
マイスリー |
ロゼレム |
分類 |
バルビツレート系 | ベンゾジアゼピン系 | 非ベンゾジアゼピン系(ω1受容体に作用) | メラトニン受容体刺激薬 |
抗不安作用 | あり | あり | なし | なし |
筋弛緩作用 | あり | あり | なし | なし |
依存性 | きたしやすい | ほとんどなし | ほとんどなし | なし |
反跳性不眠 | あり | あり | 少ない | 少ない |
区分/投薬期間の上限 | 向2/14日 | 向3/30日 | 向3/30日 | −(向精神薬ではない)/−(上限なし) |
【解説】
@バルビツレート系
(1)イソミタール
バルビツレート系の薬剤は依存性や耐性ができやすく、大量服用により致死的危険性があるため、また、
せん妄や痙攣発作などの退薬症候があるため、ほとんど使用されなくなりました。
現在、臨床で使われている薬剤はイソミタールです。精神神経科の患者さんで、他の睡眠薬が効かないとき、
急性かつ短期間で改善が期待できる不眠などに限り、使用されているようです。
はっきりした理由はわかりませんが、当院ではブロバリンと併用されている例が多いです。
(2)ブロバリン
BB系の欠点を克服すべく開発された非BB系のブロバリンですが、依存性や耐性、致死的危険性があり、
その使用はBB系と同じで、その使用は限られています。
Aベンゾジアゼピン系
現在、睡眠薬の主流として処方シェアは約95%以上。BB系に見られる依存性や耐性の問題はほとんどありません。薬剤間で効果の“強さ”の違いはあまりなく、臨床では作用持続時間で使い分けています。
B非ベンゾジアゼピン系
ω1受容体選択性が高く、抗不安作用や筋弛緩作用に関連したω2受容体への作用が低いため、転倒などの
副作用が少ない。当院での処方量No.1のマイスリーは、添付文書上に上限が10mgと明記されているが精神神経科の患者には20mg程度で処方されることがしばしばある。
BZD系 | 非BZD系 | |
超短時間型(2〜4時間) | ハルシオン | アモバン、マイスリー |
短時間型(6〜10時間) | レンドルミン、リスミー、ロラメット | |
中時間型(12〜24時間) | ネルボン、ベンザリン、ユーロジン、サイレース | |
長時間型(24時間) | ドラール |
マイスリーは向精神薬第3種で、30日迄しか処方できない。⇒倍量処方に注意!!
アモバンは向精神薬に指定されていないため、処方日数の制限はない。
Cメラトニン受容体刺激薬
メラトニン受容体作動薬という新しいカテゴリーの不眠症治療薬です。ロゼレムは従来の睡眠薬とは違い、直接的な睡眠作用がありません。処方も少なく、自分でも一度試してみましたが、効果のほどはあまり感じることができませんでした。患者は効果を自覚しないとコンプライアンスが悪くなりがちですので、頓服ではなく連用して睡眠リズムを整えていくような薬剤であることを説明して理解してもらうことが必要かと思います。頓服での使用は、すすめられません。
またこの薬剤は子CYP1A2で代謝されるため、CYP1A2を強く阻害するルボックスと併用するとラメルテオンの血中濃度が上昇するため、添付文書上、併用禁忌に設定されている。
うつ病治療中の患者さんはルボックスを服用していることがあるため、併用薬のチェックを十分にする必要がある。
同じくCYP1A2阻害作用のあるキノロン系抗菌薬とは併用注意に設定されている。
メラトニン量は加齢と共に減少することが知られており、高齢者の不眠にはメラトニン受容体作動薬が
有効と考えられている。
効果は弱く、比較的軽い不眠症に向きます。また、不眠の背景に不規則な生活パターンによる就寝時差がある場
合にもよさそうです。
睡眠・覚醒サイクルの睡眠側にスイッチを入れるとイメージするとわかりやすいです。
作成日 2011年10月3日
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