SSRI、SNRI、NaSSAの使い分け

2009年9月に国内で承認された最新の抗うつ薬 ミルタザピン。
Org3770のコードで開発されていた本剤だが、2000年に日本と欧州で同一の実施計画書を用いてbridging studyを意図した試験を実施されていた。結果的にはブリッジング不成立となり、2004年に明治製菓が日本オルガノン社と共同開発契約を締結し、プラセボ対照二重盲検試験と長期投与試験を実施し、治験実施医療機関の一つとして私もそれに関わることができた。そのため、思い入れがあり、特にSSRI、SNRIとの比較を中心にNaSSAの特徴をまとめてみたい。

SSRI SNRI NaSSA
(NaSSA:Norarenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)
ルボックス(フルボキサミン)
パキシル(パロキセチン)
ジェイゾロフト()
トレドミン(ミルナシプラン
サインバルタ(デュロキセチン)
リフレックス(ミルタザピン
有効性
@抗うつ効果
SSRI+意欲向上作用(NA↑作用)=SNRI
効果が最も強い可能性がある

プラセボ対照比較試験で、初めて有効性が確認された


A作用発現時間 作用発現までに時間がかかる 作用発現までに時間がかかる 比較的早い

パロキセチンと本剤の比較試験では、最終的な有効性はほぼ同等ながら、治療開始1週後のHAM-Dで本剤はパロキセチン群に対し有意な改善を認めた
安全性 SNRIに比べて、SSRIではNA↑による副作用が少ない。例えば尿閉、頻脈、血圧上昇などである。

性機能障害


消化器症状
セロトニン受容体刺激によると考えられる悪心・嘔吐、下痢などの副作用が見られる
消化器症状
セロトニン受容体刺激によると考えられる悪心・嘔吐、下痢などの副作用が見られる
ヒスタミンH1受容体阻害作用があるため眠気が強く(⇒就寝前投与が原則)、5-HT2C 受容体の阻害作用に基づく食欲増進で体重増加をきたす

5-HT2及び5-HT3受容体を阻害するため、SSRIやSNRIが同受容体を刺激することで認められる性機能障害、嘔気や下痢などの消化器症状が、本剤では少ないことが期待される
セロトニン5-HT受容体のうち、5-HT2受容体と5-HT3受容体を阻害する作用があるため、抗うつ作用に関連する5-HT1受容体のみを選択的に活性化することができる。

相互作用 CYPを阻害する CYPへの影響がない TCAやSSRIでよく問題になる酵素阻害の問題だが、本剤の酵素阻害作用は弱い。
また本剤の代謝酵素はいろいろあるため、1つの酵素が他剤により阻害されても影響はない。
併用禁忌 MAO阻害剤=エフピー錠 MAO阻害剤=エフピー錠
承認状況 1994年にオランダで発売されて以降、現在までに世界90カ国以上で発売されている

SNRIとNaSSAを併用することは、抗うつ効果が考えられるメカニズムをほとんど網羅することになる。
これらの併用は、3rd-line,4th-lineでの治療の選択肢として十分考えられる。

長期投与における再燃率
他の抗うつ薬で効果不十分、あるいは治療不耐例での効果

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200907/511660.html

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