同種同効薬6

MRSA治療に必要な知識は限られており,薬剤師の積極的な介入が可能です。病棟に行くと2,3ヶ月に1回程度MRSAの症例に出会うと思います。抗MRSA薬に関するディスカッションが,他の医療スタッフとコミュニケーションをとるきっかけになると思います。

第一選択はどれか?
僕はバンコマイシンと思います。理由はABKは国際的評価に耐えうる臨床研究のデータが存在しない,TEICはVCMと同等の効果が期待できそうではあるが,臨床経験も入手可能な情報も少ないからです。

手術創のMRSA感染は血流が遮断され薬剤が送達されないためか,TDMを行い充分な血中濃度をコントロールし,かつ感受性試験の結果も確認しているにもかかわらず,治療に難渋することがあります。

術前に術後感染のリスクが高い患者に使用することあるが、日本感染症学会及び日本化学療法学会が合同で作成した「抗MRSA治療薬使用の手引き」(2007年3月作成)には、
”術前にMRSAを保菌している患者に手術を行う場合の抗MRSA薬の投与については、エビデンスが確立されていない”との記載がある。

後発医薬品(こうはついやくひん、Generic drug)とは、
特許権が消滅した先発医薬品について、特許権者ではなかったメーカーが製造した医薬品をいう。昔は「ゾロ」「ゾロ品」「ゾロ薬」等と呼ばれていたが、商品名でなく有効成分名を指す一般名(generic name)で処方されることが多い欧米にならって、近年「ジェネリック医薬品」とよばれるようになった。薬価が安いことが特徴である。DPCの導入に伴い,高額の医薬品,使用量の多い医薬品が,ジェネリック医薬品に置き換えられている。

作成日 2009.3.1
 商品名 塩酸バンコマイシン
(小林化工)
当院では塩野義から小林化工が製造販売する"ジェネリック医薬品"に切り替えた
 ハベカシン
(明治製菓)
 タゴシッド
(アステラス)
ザイボックス
(ファイザー) 
 成分名  バンコマイシン  アルベカシン  テイコプラニン  リネゾリド
 剤型  注

散もあるが,消化管からは吸収されない。
 注  注  錠,注

実例処方8で説明をしたが,BAはほぼ100%であり,可能でれば経口投与を優先します。
作用機序   細胞壁合成阻害  蛋白合成阻害  細胞壁合成阻害  蛋白合成阻害
 抗菌作用  殺菌的  殺菌的  殺菌的  静菌的
スペクトル   G(+)のみ  G(+),G(−)  G(+)のみ  G(+)のみ
 交差耐性  あり  なし  あり  なし
 主な副作用  腎障害
第8脳神経障害
Redneck症候群
(60分以上かけて投与)
 腎障害,肝障害
第8脳神経障害
 肝・腎障害
第8脳神経障害
 骨髄抑制(血小板減少)
→血液検査,投与が14日を超えるとリスクが高まる
視神経障害(進行すると視力喪失)
→28日を越えない投与
 TDMの要否
PK/PD
 要
AUC/MIC
Time above MIC

5-10年前まではトラフ濃度を維持することを目的にTDMを実施していたが,最近は有効性の面でトラフだけではなくピークも重要視されてきている。
 要
Cmax/MIC
AUC/MIC

有効性はピーク濃度
安全性はトラフ濃度に依存する。
PAEがあるため,濃度が低くなっても有効性に影響しない。
 要
AUC/MIC
Time above MIC

トラフ濃度を維持
 不要
AUC/MIC
Time above MIC

腎障害患者や高齢者にも使いやすい
 採血ポイント
(重要!!)
 ◎ 2ポイント
@投与開始直前 (トラフ値)
A点滴終了後
2時間*1 (ピーク値)
*1 α相(分布相)の時間があるため,ピーク値=投与直後ではないことに注意

☆1ポイントならトラフ値の採血を優先する。
 ◎ 2ポイント
@投与開始直前 (トラフ値)
A点滴終了直後(ピーク値)
 ◎ 1ポイント 
@投与開始直前 (トラフ値)
 薬価  0.5g注 塩野義  3411円
    →小林化工 1956円
 (100mg注 5249円)
 200mg注 6637円
200mg注 7391円  600mg注 17861円
600mg錠 13005円
 国内発売年月日  1991年  1990年  1998年  2001年
 備考    臨床現場でPK/PD理論に基づく投与設計がされている中、初回承認時の用法・用量である成人への1日投与量200mgを2回に分ける投与方法から、2008年2月に1日1回投与への用法・用量の一部変更が承認された。
 初日だけは倍量投与(Loadoing)  VCM耐性腸球菌(VRE)にも有効

高い組織移行性[VCMの蛋白結合率が高く(80%以上),また分子量が大きいため(1485.71),組織移行性が劣るのに対し,リネゾリドの蛋白結合率は31%で,分子量も337.35と遥かに小さく,組織移行性が高い。

耐性菌の発現を防ぐため、不必要な症例に対する投与は各医療機関で制限する仕組みづくりが必要がある
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