同種同効薬7

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 商品名  タミフル(中外製薬)  リレンザ(GSK) イナビル(第一三共)
 成分名  オセルタミビル  ザナミビル ラニナミビル
 剤型 カプセル、ドライシロップ  ドライパウダーインヘラー 吸入粉末剤
 適応

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防

※本剤は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療」の目的で使用した場合にのみ保険給付される

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療
 作用機序 ノイラミダーゼ阻害
 使用上の注意 治療に用いる場合には、インフルエンザ様症状の発現から2日以内に投与を開始すること(症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない)。
 用法・用量 【治療】
成人、小児(37.5kg以上)

175mg(=1カプセル)を12回、5日間


幼小児(37.5kg以下)
12mg(=0.0667g/kg12回、5日間

【予防】
成人、小児(13歳以上)

1
75mg(=1カプセル)を11回、7-10日間

 成人も小児(5歳以上)も同量

【治療】110mg(=2ブリスター)を12回、5日間

【予防】110mg(=2ブリスター)を11回、10日間
一度の吸入で治療が完結

成人
40mgを単回吸入
小児
10歳未満:20mgを単回吸入
10歳以上:40mgを単回吸入
 効果発現    即効性(吸入後数十秒)
 耐性  初期から数%の耐性が報告されていた。最近では本邦において18%との報告がある。  少ない 今のところなし
 排泄  腎排泄
高齢者や腎障害患者には、Ccrを計算し、Ccr≦30で減量をする
 気道分泌物として排泄
 副作用 嘔吐(24.3%
下痢(20.0%
ドライシロップ添付文書より

嘔吐(3.9%
下痢(5.5%
カプセル添付文書より

リレンザは粉末吸入のため稀に気管支攣縮があり、喘息や慢性閉塞性肺疾患等を有する患者には使いにくい(ただし、禁忌ではない)
 その他 ・因果関係は不明だが、異常行動の報告あり。10歳以上ではハイリスク患者を除いて原則使用を差し控えること
10歳未満では服用後2日間は保護者などの監視が必要
10歳未満では服用後2日間は保護者などの監視が必要

処方量はタミフルがダントツで、リレンザの処方量はタミフルの50-100分の1くらいです。経口剤という簡便性の高さがタミフルが広く使用されている要因の1つであると考えられますが、副作用や耐性化の面からリレンザを評価してもいいと考えます。

当院では4つの薬剤マスタが設定されています。
タミフルCAP 治療用
タミフルCAP 予防用
タミフルD.S(力価)  治療用
タミフルD.S(力価)  予防用

A型・B型両方に有効。

ノイロミダーゼという酵素を阻害し、インフルエンザウイルスに感染した細胞からのウイルスの遊離を阻害し、他の細胞への感染を抑えます。つまり、作用機序からわかるように、症状のそれ以上の悪化を抑える薬ということです。気道でのインフルエンザウイルスの増殖は、発症から24-72時間でピークを迎えます。発症からできるだけ早く投与することが大切です。

発症48時間以内に使用すべきで、それ以降は副作用リスクとコストのみが発生すると言われます。
発症30時間以内の投与開始:2日以内の症状の軽減、短縮
発症48時間以内の投与開始:わずか1日以内の症状の軽減、短縮
・・・効果はたいしたことない感じです。

基礎疾患のない、生来健康な成人や小児に関しては、迅速診断キット陽性で発症48時間以内であっても、抗インフルエンザウイルス薬を使用せず、対症療法のみで対応することも可能です。

対症療法:解熱剤はアセトアミノフェン(*)、十分な安静と水分摂取
(*)アスピリン類(ポンタールやボルタレンも)はライ症候群との因果関係が疑われているため、15歳未満の小児のインフルエンザ、水痘などのウイルス疾患には禁忌である




(補足)シンメトレルはM2蛋白阻害剤で、M2蛋白が存在しないB型インフルエンザウイルスには効果がありません。日本では1975年にPD治療薬として発売され、1998年にA型インフルエンザ感染症の効能効果が追加されました。耐性ウイルスの発現頻度が劇的に高率化しているため、米国疾病対策センター(CDC)では2006年にアマンタジンを使用しないように勧告が出され、このため日本でもほとんど処方されていません。

作成日 2009.3.15
改訂日 2011.5.22

抗インフルエンザウイルス薬

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