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抗がん剤による口内炎予防・治療へのアプローチ

抗がん剤の副作用に口内炎があります。
抗癌剤の治療を継続できない原因になったり,
常に痛みを感じ,食事ができない原因にもなっており,患者さんは非常につらそうです。
色々な報告がされていますが,有効な治療法はないようです。
「治療」ではなく「予防」に重点をおいで指導します。

口内炎に対するアプローチは、以下のように大きく6つに分けて頭の中を整理します。どれも1つで十分な予防・治療効果を出すことはできず、薬剤の作用から使用する時期を考え、適宜組み組み合わせて処方します。

作用 予防/治療 主な薬剤 備考
殺菌・消毒
 予防>治療 ポピヨドンガーグル 味が悪く、潰瘍がある場合は刺激により痛みを生じる。
解毒薬  予防>治療 アロプリノール含嗽液(院内製剤)
ロイコボリン
 
 冷やす
(クライオセラピー)
 予防、治療
アルロイドG
エレース
 一口サイズに丸く凍らせて口にいれる。
 抗炎症  治療、予防 アフタッチ
ケナログ
デキサルチン
含嗽用ハチアズレ
アズノール錠(外用)
インドメタシンスプレー(院内製剤)
 清浄化  治療、予防 エレース末  
 局所麻酔   治療 キシロカインビスカス  

A.Te.wasserは 表面麻酔薬のテーカインと殺菌消毒薬のアクリノールが入った院内製剤です。

口内炎の症状は、抗がん剤投与後2〜4日目くらいから、放射線治療では照射開始後2、3週間目ごろから出てくることが多いようです。通常は、口内粘膜が再生する10日目から2週間以内にほぼ治りますが、いったん発症すると治療に時間がかかります。

効果のあるポピヨドンガーグルによるうがいのしかた

@度目のうがいは,食べかすや、口の中の有機物を取る目的で口に含んで比較的強くうがいします。
A度目は上を向いて、のどの奥までうがい液がとどくようにうがいします。
B度目はうがい液が口の中からのどに十分にとどくようにうがいします。

5-FUとMTXに関しては、効果が証明されている独特の予防法があります
・5-FU
胃がんや大腸がんなどの治療法として行われる5-FUの急速静注では、血中濃度が急に上がり、口腔の粘膜細胞にも取り込まれやすくなりますが、
投与5分前くらいから30分間ほど、口の中に氷を入れてなめる「クライオセラピー」で口腔内を冷やすと、粘膜細胞への取り込みを防ぎ、口内炎を予防する効果が認められています。なお、持続静注の場合は「クライオセラピー」による予防効果は期待できないそうです。
「また、5-FUによる治療中、ザイロック(一般名アロプリノール)という痛風の薬を水に溶かしてうがいに使うと、口内炎を予防できる可能性があります。
・MTX
「メソトレキセートを使う場合は、ロイコボリン・レスキューといって、投与後1日ほどたってからロイコボリンを6時間ごとに服用または点滴すると、口内炎の副作用を和らげることができます」


作成日 2009.3.18

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