PL顆粒
昼夜問わず処方されるPL顆粒。4種類の成分が配合されている「総合感冒薬」です。特に日当直の時間帯に処方する若い医師は、風邪=PL顆粒処方 と安易に考えていないでしょうか?「総合」と呼ばれていても、咳には効かないことは知っていますか?配合されている各成分の薬効を表にしました。これを元にPLが最適と考えられる風邪のタイプを考えてみましょう。
PL顆粒の成分と薬効
サリチルアミド270mg | サリチル酸系の解熱鎮痛抗炎症薬 | |
アセトアミノフェン150mg | 解熱・鎮痛 | |
メチレンジサリチル酸プロメタジン13.5mg |
抗ヒスタミン剤 |
cf.ピレチア錠・散(塩酸プロメタジン) |
カフェイン60mg | 頭のぼーっとした感じを改善したり頭痛を軽減する |
これを見るとわかるように、喉の痛みや炎症には有効ともいえますが、咳を止める直接の作用はなさそうです。ですから咳が激しくこれを何とかして欲しいという患者には別に鎮咳剤が必要でしょう。
POINT1 <PLが最適と考えられる風邪のタイプ> >熱があって鼻水がでていて、頭が重く(あるいは痛く)、咳はあまりないという風邪 |
POINT2 <風邪に対する処方薬の考え方> >風邪は薬で治すことはできず、薬は症状を改善して治るまで楽にするだけ >抗生物質は基本的にはつかわず、扁桃や気管支に2次感染がみられる(疑われる)時のみ使う >風邪ですと言われたら、熱、咳、喉の痛み、鼻水、頭痛の有無を聞き、一番の訴えを中心に処方薬を考える |
PL顆粒の基本的注意事項
・プロメタジンは抗コリン作用を有し緑内障、前立腺肥大には禁忌となっている。が、短期間の服薬なら照会はしていない。
・1回1gを1日4回だが、99%以上の医師が1日3回で処方する。
・アスピリンが15歳未満の水痘とインフルエンザの患者さんにライ症候群(重篤な脳などの障害)をおこす可能性があり、禁忌とされている。成分中のサリチルアミドがアスピリンの構造と似ているため、この薬(PL顆粒)も同様にこれらの病気に使用しない。
・2歳未満には禁忌とされている(成分のプロメタジンが呼吸抑制をおこしたとの報告があるため)
2010年5月8日作成
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