マクロライドの少量長期投与


細胞壁の合成を阻害するβラクタム系の抗生物質に対し、マクロライドは細菌のタンパク合成を阻害することに より、その抗菌作用を発揮する。
・抗生物質を選択する際、まずはセフェムを選ぶ。マクロライドが抗生物質として選択されるのは、βラクタムが 効かない感染症である。
・細胞壁を持たない、つまりβラクタム系薬剤が効かないマイコプラズマ、クラミジア、リケッチア、それから最 近流行っている百日咳に使います。
・ヘリコバクタ・ピロリの除菌にも使いますね。
マイコプラズマ
ラミジア
リケッチア
百日咳
ヘリコバクター・ピロリ

・ まれにβラクタム系の薬剤に過敏である患者に、投与されることもある。
・ 嫌気性にも効くため、歯科口腔外科領域でも使われ始めているらしい。

・ しかし、
14員環マクロライドであるエリスロシンやクラリス、ルリッドには抗菌作用のほかに、抗炎症作用や粘液の産生を抑制したり、性状を整えたりするなど多彩な作用を有することがわかっている。
・ 抗菌作用“以外”を狙って、抗生物質としての
常用量の半量程度を、数ヶ月から数年間にわたり長期投与することが、臨床では当たり前のように行われている。
・ 代表的な疾患としては
びまん性汎細気管支炎
気管支拡張症
滲出性中耳炎
・ 抗生物質の投与期間は長くて2週間というのが常識である。抗生物質としてではなく、抗菌作用“以外”を狙ってマクロライドを処方する場合、処方日数が30日とかで処方されるので、すぐにわかる。

■14員環マクロライドには、エリスロシン、クラリス、ルリッドがある。たった3つなので丸暗記してしまおう。一番処方されるのが大人でも小児でもクラリスである。
商品名 剤型 抗菌作用を目的とした用法・用量
エリスロシン 錠剤(100)、ドライシロップ
注射(500) 
2時間以上かけて点滴静注
1日800mg〜1200mg、4〜6回
 投与回数が多くて不便!
クラリス 錠剤(200)、ドライシロップ 1日400mg、1日2回
ルリッド 錠剤(150) 1日300mg、1日2回


おまけ<14員環マクロライドの学習のポイント>
・CYPを介する相互作用の違い
・副作用・・・@消化器症状
       AQT延長(QT延長を起こす薬剤との併用には注意。併用禁忌になっている薬剤もあり)
       B肝障害


作成日2010年7月16日

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