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ワンポイント4

Rp) ソルアセトF注 /500ML    1
   術前(出棟時)
   点滴静注(DIV

 このような処方が良く出ます。ソルアセトF1本とって調剤完了ですが、今回はその処方背景を考えてみましょう。
 手術をすれば、体に侵襲が加わったることに対する影響や麻酔薬の影響で様々な生体反応が起こります。前もって侵襲のサイズや手術時間は予想できるわけだから、患者の現在の状況と予想されるダメージに対し体のホメオスターシスの乱れを最小限にすることが、安定した手術や術後の早期回復にとって必要なことです。

もう少し具体的な話をすると・・・
手術前日の夕食以降は「絶飲絶食」となるけど、これは全身麻酔をすると、食べ物が胃から逆流して気管に入るおそれがあるからっていうのは大学で習っているよね。一般的には術前6時間前まで、飲水なら2時間で胃の中を空にできると言われている。ただ何もしないでいると体が消耗してしまうので絶飲絶食時間に合わせて維持輸液(3号液)の量を調節してやればいい。一方、麻酔薬の影響として末梢血管の拡張が起こり血圧が低下する。特に硬膜外麻酔ではこの影響が顕著に現れる。よって血管内に十分なボリュームを負荷しておく必要がある。出棟時ソルアセトFなどを開始するのはこのためだ。そうでなくても@出血、A不感蒸泄、Bサードスペースへの移行などで細胞外液は黙っていても消費されてしまう。理想を言えば、維持輸液や、代用血漿製剤も併用して、できる限りホメオスターシスを保つのが理論的なんだけど、普通の患者の一般的な手術では細胞外液の補充をメインに考えれば十分なんだ。

この分野はあまり話題にはならないのですが、普段1本の輸液でも考えながら調剤してほしいと思ってワンポイントに追加しました。

周術期の輸液に限らず、基本的な考えとして
体液=細胞内液+(細胞外液:)血漿+間質液
に分け、病態によってどの部分のコンパートメントに変動が起きるのか(液量、組成など)考え
その変動を最小限に抑える輸液をおこなうのがとっても大事なことです。

手術前後の投与に注意を要する薬剤は本開けば載っているから自分で調べてください。