坐薬の作用発現時間に注意!


■大学では、坐剤の特徴として、初回通過効果が避けられることや、効果の発現が早いことを学習した。ボルタレン坐薬を例に、Cmax及びTmaxのデータを見てみよう。

Cmax(ng/mL) Tmax(時間)
ボルタレン錠25mg 415±57 2.72±0.55
ボルタレンサポ25mg 570±134 0.81±0.28

特に最高血中濃度到達時間(Tmax)の速さが際立つ。このため、頓用で使用しても、速やかに解熱・鎮痛作用を得ることができる。
ただし、血中濃度の立ち上がりの速さは、血圧低下や体温低下に注意しなければならないことをうかがわせる。その証拠に、ボルタレンサポには添付文書に、錠剤やSRには“ない”以下の「警告」が記載されている。

〔警告〕
幼小児・高齢者又は消耗性疾患の患者は、過度の体温下降・血圧低下によるショック症状があらわれやすいので、これらの患者には特に慎重に投与すること。


■しかし、基剤が水溶性のナウゼリン坐剤やレペタン坐剤は直腸内の体液で液化するため、最高血中濃度到達時間が錠剤よりも遅いので、注意が必要である。
水溶性基剤のマクロゴールは平均分子量の大きさにより400<1500<4000<6000とあり、分子量が大きくなるに従って融点が高くなる。
ナウゼリン坐剤の添付文書には、以下のような組成が記載されており、
溶融機序:分泌液で徐々に溶ける
溶融点:50-57℃

とはっきり明記されている。



ナウゼリン錠と比較して血中濃度の推移をみてみよう。坐剤のTmaxが約2時間であるのに対し、錠剤のそれは約30分と4倍立ち上がりが早い!!

【ナウゼリン坐剤】


【ナウゼリン錠】


■レペタン坐薬 添付文書 より



作成日 2011年11月11日

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