よく入院処方あるいは退院処方でミドリンPが処方されます。
添付文書では
診断及び治療を目的とする散瞳と調節麻痺」と書かれていますが、治療を目的とする散瞳とはどのようなことを目的に行われるか説明をします。

対象疾患
臨床では主に網膜硝子体手術の術後に使用します。たまに緑内障の術後にも使用されます。
このふたつの手術に関しては当院のクリニカルパスにも組み込まれてます。
このほか、ぶどう膜炎*1)の治療にも使用されています。
*1
 虹彩、毛様体、脈絡膜を総称してぶどう膜という


・処方目的
虹彩や毛様体に炎症があると、虹彩の表面に滲出物が出て、虹彩と水晶体が癒着を起こします。これを虹彩後癒着(「こうさい こうゆちゃく」と読みます)と言います。

術後使用に関しては、散瞳させることによって虹彩毛様体炎により形成される虹彩後癒着の防止と、虹彩と毛様体を安静にさせることによる消炎効果が目的です。
ぶどう膜炎の場合も炎症によって起こる癒着の解除・予防目的です。


・使用期間
当院眼科では、基本入院中(3日〜1週間くらい)のみの短期使用です。
炎症がひどかったり、癒着が見られるともう少し長めに投与するようです。退院処方で処方されるのはこのような背景を持つ患者だと思います。

・用法
一日二回、起床時と夕食後(または就寝前)です。時間の指定に関しては特に治療にかかわる理由はありません。毎朝ドクターによる検査があり散瞳させておく必要があるため、起床時にさしておけば、都合が良いということです。

・患者への説明と注意事項
患者さんへの説明は「散瞳させて、癒着を防ぐ」と説明します。作用時間は34時間程度ですが、この間散瞳した状態になりますから、まぶしく感じたり、ピントが合いづらくなったりすることを説明します。

ミドリンPは眼底検査時の散瞳に
アトロピン点眼液は、作用時間が約1週間で屈折検査の調節麻痺に
使用されることが多いようです。

作成日 2009年3月10日

ワンポイント9

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