同種同効薬33
薬剤名 (成分) |
タンカル錠 (炭酸カルシウム) |
沈降炭酸カルシウム〔散薬〕 (炭酸カルシウム) |
レナジェル錠 (塩酸セベラマー) |
ホスレノールチュアブル錠 (炭酸ランタン) |
発売開始 | 2009年9月 | 1986年3月 | 2003年6月 | 2009年3月 |
作用機序 | 不溶性のリン酸カルシウムとなって体外に排泄 | Caやアルミニウムを含まない高分子化合物で、腸の中でリンと結合し、体内に吸収されることなく糞便中に排泄 | ランタンは、希土類元素で食物中のP(リン)と不溶性複合体を形成することによって腸管でのP吸収を抑制する。 | |
用法 | 食直後が多い 食物と混ざるように食事中に服用することもある |
食直前 「塩酸セベラマー」はCa剤と異なり胃内pHの影響は認められないため、服用のタイミングは食事前・中・後いずれもOK?? |
食直後に経口投与 本剤は噛み砕かずに服用すると溶けにくいので、口中で十分噛み砕いた後、唾液または少量の水で飲み込むこと |
|
Ca値に対する影響 | 血清リン値の低下のみならず血清Ca濃度を上げることができますが、反面活性型ビタミンD製剤と併用すると血清Ca値の上昇を招き、Ca×リン積(理想55以下)が上昇してしまうという欠点があります。 | 活性型ビタミンD製剤を服用していても血清カルシウム値は上昇しない 「塩酸セベラマー」をCa剤から切り替えて使用すると血清Ca濃度が下がり、二次性副甲状腺機能亢進症の増悪を招く可能性がありますので、透析液Ca濃度やCa剤からの切り替え法を慎重に検討する必要があります。「塩酸セベラマー」とCa剤との併用(主治医の先生に要確認)は、現時点わが国において明確なデータはありませんが、海外の報告からは少なくとも両者には阻害作用はなく、相乗効果はないものの相加効果はあるようです。 |
炭酸Ca製剤を対照とした多施設RCT(無作為割付比較試験)において、 炭酸ランタンは、炭酸Ca製剤と同等の血清P値低下効果を認めた 高Ca血症の発現率は有意に低値で、安全性と忍容性も問題がなく、また1年間の炭酸ランタン投与前後の骨組織学的検討で、炭酸Ca製剤に比較して低回転骨の改善に優れた効果を示した |
|
副作用 | 「炭酸カルシウム」が、リン吸着剤として有効に機能するためには、胃酸の存在が必要ですので、胃酸分泌を抑える薬、即ちPPIやH2ブロッカーを服用している場合には、特に「炭酸カルシウム」の錠剤の効きはよくないと考えられます。 ★同種同効薬32参照 |
代謝性アシドーシス(pHが7.4未満に低下した状態)の増悪の可能性もあり、 この薬剤は水分を吸収すると急速に膨れることから腹部膨満・便秘等の消化器系の副作用があり、その出現は欧米のデータに比べ日本では高く、軽症を含めると60%にもなり、投与量の増量(それでなくても服用錠数多い)の妨げになったり、コンプライアンスの低下に繋がっています |
ランタンは金属元素でわずかに腸管吸収を受けることから、Al(アルミニウム)と同様、骨に蓄積による副作用の懸念があり(ランタンの主要排泄経路は胆汁とされており、Alと異なり腎不全患者には有利)、ラットを用いた検討では肺、肝、腎への蓄積が観察されてはいるものの、少なくとも3年間の炭酸ランタン長期投与研究では、悪心(おしん)など軽度の消化器症状を認める以外重篤な副作用は報告されていない。 |
|
その他 | 腸肝循環の際にコレステロールも吸着されることから血清コレステロール値の低下作用(故に低栄養患者では問題も) | 「ホスレノール」は、その服用に水を必要としない「チュアブル錠」であり、水分摂取が制限されている透析患者のニーズに合った製剤である。 |